クローチ
クローチ・ワイナリーの始まりと自然農法へのこだわり
クローチは1935年、ジョゼッペ・クローチ氏がこの土地を購入したことから始まりました。元々は酪農を含む兼業農家として生計を立てていましたが、1980年代から本格的にワイナリーとしての活動を開始。北向きの斜面に広がる10haの畑では、アペニン山脈からの涼風が常に吹き、ブドウ栽培に理想的な環境が整っています。創業当初から有機農法を貫き、地元密着のスタイルでワインづくりを続けています。現在は孫のマッシミリアーノ氏と弟ジョゼッペ氏が、祖父の精神を受け継ぎ、家族の味を守り続けています。
自然酵母とセメントタンクで仕上げる唯一無二のフリッツァンテ
クローチのワインは白も赤もすべて皮ごと自然酵母のみでセメントタンクにて醗酵されます。冬の間にタンクで静かに過ごし、熟成期間を経て瓶詰めされます。中でも看板となるのが「フリッツァンテ」。山の上側は鉄分を含んだミネラル豊富な土壌、下側は海由来の砂質土壌という特異な地質条件から、酵母の活動が季節と共に変化し、春には瓶内で自然に再発酵。これにより、ナチュラルで繊細な発泡性を持つ唯一無二のワインが生まれます。
土地と共に生きる農民の哲学が息づくワイン造り
クローチの敷地は18haにおよび、森や木々に囲まれた自然豊かな環境です。彼らはワインづくりだけに頼らず、代々小麦も栽培。しかも単一品種ではなく多品種を育て、自給自足を基本とした農業を大切にしています。ワインが売れるからといって、小麦畑を葡萄に変えることはしません。そこには、短期的な利益よりも土地との共生を重んじる哲学があり、人間の営みへの深い問いかけが込められています。SO₂の使用も最低限に抑え、移し替え時に10~15mg/Lのフリーのみを一度だけ添加しています。