医学生からヴィニュロンへ ― ジュラに根ざした情熱の歩み

ヨアン・ヴィドメールは、医学生2年目の夏休みに地元の協同組合でアルバイトをしたことがきっかけでワイン造りと出会い、「私が本当になりたいのは、医者ではなくヴィニュロンである（!!）」と開眼しました。ペルナン・ヴェルジュレスの実力派「ドメーヌ・ドニ」で修行した後、ジュラのレトワール村「ドメーヌ・モンブルジョー」で4年間勤務し、ジュラならではの栽培と醸造を体得。2003年にアルボワで1ヘクタールの畑を賃借し、協同組合にぶどうを販売しながら少しずつ畑を買い足し、2018年に自らのドメーヌ「レ・サンク・ヴィ」を設立しました。

自然な栽培と清潔な醸造 ― ジュラワインへのこだわり

「2003年に自分で栽培を始めた時から、化学肥料や農薬は一切使用せずにぶどうを育てています。私にとってそれは“誰かを好きになること”と同じくらい当たり前のこと。認証は必要ないと思っています。醸造は一に清潔、二に清潔、三に清潔をモットーに、基本に忠実。SO2の使用は必要最小限に留めています」。家族も5人、栽培するぶどうも5品種、ワインは五感で楽しむもの。「5」に自身のイニシャルを重ね、ドメーヌ名を「レ・サンク・ヴィ」としました。

テロワールを映す味わい ― ジュラワイン新世代の旗手

2018年のファーストヴィンテージ完成直後にコロナ禍が到来しましたが、各種ワインガイドや雑誌で高評価を得て、多くの顧客に支持されるようになりました。忙しい畑仕事の合間にも地元のボランティア活動に積極的に参加し、人としても共感を呼ぶ人物です。彼の作品は驚くほど美味しく、品種とテロワールの個性が鮮明に表現され、ブルゴーニュで培った精神を色濃く感じさせます。ナチュール一辺倒で価格が高騰する近年のジュラにおいて、「テロワールへの回帰」を志すルネッサンス的ムーブメントに加わる、良心あふれる新世代の造り手です。

このワインの特徴は

24ヵ月以上の瓶熟成を経たワインは、泡のキメの細やかさとコクのある味わい。香り高くて厚みもほどよくあり、ガス圧も高め。酸や果実味もほど良く、ひと口目から美味しいと感じるクレマンです。
ラベルの絵は、パリでグラフィックデザイナーをしているヨアンの従弟が、ヨアンのイメージを基に描いてくれたものです。
アルボワ村およびサン・シル・モンマラン村産のシャルドネ70%、ピノ・ノワール30%のブレンド。0.4ha。粘土質・泥土質土壌。平均樹齢35年。収量は70hl/ha。ステンレスタンクで醸造。24ヶ月間以上ビン熟成。MCRによるドザージュは8g/l。