エミリア・ロマーニャ最西端の地 ― トラーヴォの歴史と風土

パルマから西に100km、ピアチェンツァの南30kmに位置するトラーヴォは、エミリア・ロマーニャ州の最西端にあたり、ロンバルディア、ピエモンテ、リグーリアとの州境に近い地域です。新石器時代の遺跡も発見されるほど歴史的に重要な土地で、トレッビア川西岸の見晴らしの良い地形は、砦や拠点を築くのに適していたため、時代ごとの支配者が奪い合ってきた場所でもあります。アルベルト・アングイッソラは1998年、祖父母が暮らしていたトラーヴォ郊外「カゼ（カザル・ポッツィーノ）」の標高530〜560mの土地を購入し、ブドウ栽培を始めました。

ラ・ストッパとの縁とピノ・ネーロへの挑戦

当初はスプレー缶メーカーで働きながらの兼業でしたが、当時ラ・ストッパの栽培醸造責任者を務めていたジューリオ・アルマーニ（現デナーヴォロ）と親交が深く、様々な助言を受けるうちにワイン造りに没頭していきます。2012年に本業を退職し専業となると、標高の高さや土壌条件を生かし、自身が愛するブルゴーニュを意識してピノ・ネーロを植樹。自然環境に最大限の敬意を払った農業を実践し、2000年には初めてのワインを醸造、2007年からは発泡性ワインの試験醸造も始めました。

自らのワイナリー完成と現在の歩み

2009年ヴィンテージまではラ・ストッパの醸造所を間借りしていましたが、2010年に自身のワイナリーが完成して以降はすべて自社で醸造。2011年からは耕作放棄されかけた高樹齢ブドウの区画を借り、2012年には新たにピノ・ネーロを植樹。現在は共同経営者ディエゴ・ラガッツィとともに、4.5ヘクタールの畑から年間約30,000本を生産しています。

このワインの特徴は

高樹齢のブドウが穫れるのに放って置くのはもったいないということもあるが、それ以上に高樹齢の樹を人が手をかけつつ維持すること自体が文化継承（の望みをつなぐこと）になるというアルベルトの思いから造られるワイン。 様々な白ブトウ品種をブレンドして造るワイン。皮ごとのマセレーション後にステンレスタンクで熟成を行う。