モーゼルが育む奇跡のワイン：クレフ村の秘宝

ドイツ、モーゼル地方の中部モーゼル、ベルンカステラル・ヴィットリッヒ地区にひっそりと佇む歴史ある村、Kröv（クレフ）。ここは、モーゼル屈指の銘醸畑と名生産者がひしめく、まさにワイン愛好家垂涎の地。フランクフルトから西へ150km、アルザスのストラスブールから北北西へ240km。この地の歴史が紡ぐ物語が、今、新たな章を迎えます。

伝統を打ち破る若きヴィジョナリー：ヤン・マティアス・クライン

1977年生まれのヤン・マティアス・クラインは、862年創業、1100年以上の歴史を誇るドイツ最古のワイナリー「シュタッフェルター・ホフ」の血を引く若き当主。彼の家族は1960年代からオーガニック栽培に先見の明を持ち、ヤンはその意思を受け継ぎ、2012年には全畑でビオ認証を取得しました。そして2014年、彼は大胆な一歩を踏み出します。それは、シュタッフェルター・ホフとは一線を画す、自身の名を冠した新プロジェクト。無濾過、無清澄、亜硫酸無添加という、これまでのモーゼルの常識を覆す３つの哲学で、ブドウ本来の魂が宿るワインを追求しています。家族の持つ約10haの畑から厳選された2.5haの区画で、リースリングを中心に、年間わずか2,000〜10,000本という限られた生産量。この地のスレート粘板岩がもたらすミネラル豊かな風味は、まさにモーゼルだからこそ生み出せる奇跡。ヤンは、モーゼルこそがナチュラルワインの聖地であると確信し、冷涼な気候と低いPHが織りなす大地の恵みを最大限に引き出しています。

ロック魂が奏でる新時代のモーゼルワイン

ヤン・マティアス・クラインのワインは、その味わいだけでなく、遊び心あふれるキュヴェ名でも人々を魅了します。ニルヴァーナをはじめとするグランジやミクスチャーロックへの深い愛情が、ワインの個性とラベルデザインにも色濃く反映されています。彼のカーヴに併設されたライブハウスからは、今もバンドの熱いサウンドが響き渡ります。1100年以上の歴史という重圧を乗り越え、40代になった彼は、家族の偉大な遺産を受け継ぎながら、ナチュラルワインの新たな歴史をこのモーゼルで刻み始めています。彼のワインは、単なる飲み物ではありません。それは、伝統と革新、ロック魂と大地の恵みが融合した、まさにアートなのです。

このワインの特徴は

グリーンイエロー色、ミント、スウィーティの香り、プチプチとしたミネラリーなアタックにフレッシュでジューシーな味わい、グレープフルーツの酸味がアフターに感じられる爽快な仕上がりです。
リースリングを主体とした3品種を別々に数時間醸し、2週間醸したミュスカとアッサンブラージュし、ステンレスタンクで発酵・熟成、酸化から守ってくれる澱と共に瓶詰めしました。