「飛騨古川の隠れ里」300年の歴史が息づく蔵元「蓬莱」

渡辺酒造店は、詩情豊かな町「飛騨古川」に蔵を構える酒蔵です。岐阜県最北端に位置し、北アルプス連峰や飛騨山脈に囲まれた古川盆地は、作家・司馬遼太郎氏が「見事なほど、気品と古格がある。観光化されていないだけに、取りつくろわぬ容儀や表情、あるいは人格をさえ感じさせる」と評した美しい町並みが特徴です。出格子の古い商家が並ぶ壱之町や、白壁黒腰壁の土蔵が続く瀬戸川沿いの情緒ある風景の中に、蔵は静かに佇んでいます。渡邉家の歴史は享保17年（1732年）に初代久右衛門が「荒城屋」として業を起こしたことに始まり、以降脈々と受け継がれてきました。こうした歴史と文化の中で、当蔵の酒は育まれています。

「蓬莱」に込められた想い-美酒を追い求めた先人たちの情熱

渡辺酒造店が本格的な酒造りを始めたのは明治3年（1870年）、5代目久右衛門章の時代です。京都で味わった酒の旨さに感動し、「自らの地に酒蔵を構え、旨い酒を造る」という志が、現在の「蓬莱」の源流となりました。出来上がった酒は非常に好評を博し、酒を愛でる宴で謡曲「鶴亀」が謡われた際に、「仙人が住む不老長寿の桃源郷」を意味し、人に慶びを与え開運をもたらす縁起のよい「蓬莱」の銘柄が誕生しました。明治・大正・昭和にかけて全国の銘醸地で酒造技術の習得に努め、品質至上主義を貫き、多くの品評会で上位入賞を果たしました。若山牧水をはじめ文人墨客にも愛飲され、その名は酒通に広く知られ、飛騨を代表する美酒として高い評価を受け、地元の人々にも長く愛されています。

「米のいのち」を最大限に活かす-杜氏と蔵元が紡ぐ究極の酒造り哲学

当蔵が追い求めるのは、「米のいのちを生かすよう、真っ直ぐに醸す、心や人間性の酒造り」という哲学です。現在の9代目当主・渡邉久憲は、酒造りを「化学であり、物理であり、そして哲学である」と位置付けています。麹菌の繁殖や酵母によるアルコール変換は化学、米の精白や酒の熟成は物理としながら、特に「米の『いのち』を生かすように酒を造る」点に重きを置き、発酵に意識を向けることで酒造りを通じて心を伝える哲学が形作られています。この理念のもと、杜氏・北場広治と共に創業以来の飛騨厳冬寒造りの技術を継承し、心を伝える酒造りを行っています。

「自然との調和」が生み出す-飛騨の風土と伝統技術への畏敬

酒造りは単にアルコール飲料を作る作業ではなく、「自然と調和し、宇宙と調和すること」として捉えられています。自然のバランスを尊重し、見えない命の働きを信じることで、調和度の高い創造的な酒が生まれると考えられています。伝統と手造りを重視し、古い木の道具を用い、香りや手触りを大切にしながら、飛騨の厳しい冬の寒さの中で培われた飛騨厳冬寒造りの技術を最大限に引き出しています。また、人材育成や伝統文化の継承にも注力し、持続可能な酒造りを目指しています。

世界が認めた美酒を-「日本一笑顔あふれる蔵」が贈る美酒

渡辺酒造店は、その品質と哲学により日欧米亜56冠達成という世界でも有数の受賞実績を誇ります。地域風土に根ざし、四季折々の食材と共に人々の生活の慶びとして愛され続けています。9代目当主・渡邉久憲を中心に、今後も「米のいのち」を生かした美酒を届けることを理念とし、「日本で一番笑顔あふれる蔵」を目指しています。「蓬莱」の美酒には、歴史と情熱が詰まっており、幅広い方々にその魅力を楽しんでいただけます。

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「W」シリーズがなぜ注目されるのか

環境保全米を使用

「W」に使用される酒米は、環境に負担をかけないよう農薬や化学肥料を極力減らし、消費者の健康を守る環境保全型農業を推進している農家より積極的に調達推進しています。これにより、環境保全米を使用した商品開発を推進し、環境保全型農業を応援する事ができます。

純米大吟醸規格でも純米酒表記のワケ

通常、「米」「米麹」「水」のみを原料として、精米歩合50%以下で醸したお酒はを純米大吟醸と呼ぶことができます。最高級クラスの日本酒を指す言葉といっても過言ではありません。しかしながら「W」は、純米大吟醸規格にも関わらず純米酒の表示にしています。これは、精米歩合を小さくすること、数字をもてあそぶことが「W」の目指す本質に近づくとは考えてはいないからです。そのため「W」製品はすべて純米酒表示となっているのです。

酒造好適米：穀良都

明治中期に山口県の篤農家により育成された米品種：穀良都（こくりょうみやこ）。昭和天皇即位の際には献穀米になったほどの由緒正しい米で、昭和初期に出版された酒造解説書「清酒製造精義」の中では、山田穂（山田錦の一代前）や亀の尾などと同列で優秀な米として評価されていました。 背が高く育てにくい上、収量の低い穀良都は昭和期にその姿を消すことになりました。しかし平成の世にその栽培が一時は再開され、「穀良都」復活かと思われたのですが・・・・・・桿長が１メートルを優に超える「穀良都」は、やはり耐倒伏性に関して難があり、また安定供給が困難であるとの理由から、次第に農家から敬遠されるようになったのです。

このお酒の特徴は

穀良都が再びその名前を消そうとしているのを食い止めるべく、あえてこのお米を使用しています。青竹のようなグリーンの香りを彷彿させる落ち着いた印象に、存在感のある米の旨みと酸味。爽快感のある後味のキレが特徴です。